今月の作家インタビュー:陶芸家 泉 理恵(Izumi Rie)

今月のインタビューは、福岡県出身、大阪府在住の陶芸家、泉理恵さんです。
昨年の暮れ、アクセサリー作家、末野美由紀さんとの二人展が福岡で開催されました。
少し路地を入ったカフェと隣接したギャラリーでの展覧会は、お洒落で素敵な雰囲気♪
私は心躍らせながらいそいそと出向き、泉さんの作品、そしてご本人の魅力を満喫してまいりました。
皆様にもお伝え出来たら幸いです。

陶芸を志したのはいつ頃からですか?

もともと絵が好きで美術方面を目指してはいたのですが、一番のきっかけは、父から貰ったペンダントトップ、かな。

ペンダントトップ?

浪人中の誕生日に貰ったんです。
北欧の彫刻家のもので、『こんな小さな彫刻があるのか』とびっくりして。
その時に、平 面も良いけど、立体も良いなぁ、と思ったんです。

何だかロマンティックですね。

ハハハ。
そこで、京都芸大(京都芸術大学)の工芸科を受験して、入学。工芸の中から 更に選択するのですけど、はじめは染色科かな、と。
今まで目指していた平面(絵)に 近いから、という理由で。
でも、学生ならではの、思いっきり出来る事って何だろう… と考えた時に、設備が充実している陶芸科に決めました。
いざ自分でやろうと思っても、設備を整えるって大変でしょ。
それに、ペンダントトップのおかげで、立体制作に興味を持ち始めてましたし。

分かります!ガラスもしかり、で。12年やってますが、未だに整ってるとは言い難い…。
でも、結局陶芸されてて、教室までなさってる!

そうですね(笑)。
当時の京都芸大の陶芸科はオブジェ色が強かったんです。
在学中に器で展覧会をしましたが、教授から『うちの学生ではとても珍しい、初めてか も。』とまで言われるほどで。
私としては、何を作ろうかと模索しながら、まずは器、 という感じでした。
制作を続けるうちに、もっとストレートに自分を表現してみたい・・・と思って、オブジェも制作するようになりました。

器とオブジェ、制作時の向き合い方というか、違いはありますすか?

考えるポイントはありますよ。
器は、使う人や盛り付けることを念頭に置いて、引き算的に考えます。
特に手で持つお碗やカップなどは、手にしっくり馴染むような形を作りたい。
オブジェは、自分の世界観を素直に出すことを第一に考えます。
メッセージ性はあえて出さないように・・・私の世界観と違うように捉えられるのも、また面白いな、と思って。

ろくろはあまり使わない、とか。

手捻り(てびねり)がほとんどです。私には手捻りの方が、自分の作りたい形や柔らか さ、強さが出しやすいですね。
手捻りの、じわじわと形を作り上げ る感じが好きです。
土も、土くさ~い土が好きです。ツブツブが出たりとか。

釉薬もご自分で作られるのですか?

はい、日々試行錯誤で作っています。
今は使えないと思ってる釉薬でも、いつか使うかもしれないし、欲しい釉薬がすぐにできる訳でもない。
だから、調合やテスト焼成を繰り返してます。
実験好きでよかった(笑)!
でも、もっと釉薬で遊びたいし、まだまだ勉強!ですね~。

制作時間以外はどう過ごしていらっしゃいますか?好きな事とか。

ヘンテコなものを見つけること。
買うのも、拾うのも好きです。
木の実とか、ブリキのキリンの頭、とか。
『これは何だ?』と思いめぐらせてる時間が 好き。
買う時は、こんなヘンテコナものを置いてるお店の人に出会った嬉しさや、作った人を想像する楽しさもあります。
拾った時は、「発見!」という感じ…出会った嬉しさがありますね。

あと最近ハマっているのは、電車に乗って、ぼ~っと外を眺めること。
車窓から見える 風景を、切り取るように見るんです。
屋根やダクトなんかが突起物で、人々もシルエットとして、パシャパシャッと。

コマ送りの写真のような感じ?

そうですね。
自分の目に止まったものは、自分にとって意味のあるものなんじゃないか な、と思って。
日々のこれらが、制作する上での引き出しになっているのかも知れません。
そうそう、工具類も好きです!ネジとか魅力的ですね~。

…。そんな泉さんですが、目指す方向性などありますか?

美しい!とかカッコいい!とか、それらは他の方に任せて(笑)、『ヘンテコ』なものを作りたいですね。
可笑しみのあるもの、というか。
怪し気なもの、無機物と有機物の中間、みたいなものを作りたいです。
自分が楽しめるもの、自分にしか出来ないものを追求していきたい。
もっともっと好きな事をやればいい!と自分で自分に言ってます。
今年は器はひと休みして、オブジェや花入れを中心に制作していこうと思っています。

好きな言葉は?

『成り行き』。
なるべくなら成り行きにまかせて、自分の物差しは崩したいですね。

学生時代を入れると陶芸歴20年になられますが、ものを作るということは?

『うんち』。
いっぱい噛んで、いっぱい吸収しないと出来ないから。
今は関係ない、必要ないと思える事も、身体の中では良い菌を育てているんじゃないかな。

最後に、今後のご予定を教えてください。

4月に大阪でグループ展があります。
小品展ですが、お近くの方は遊びにいらしてください。

ぜひ弊ショップでも紹介させていただきます!今日は展覧会中にも関わらず、快くお話しいただきありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。

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